奨学金の立て替えについての注意点

10月25日付けの某新聞に、人材確保のため給与前借りを可能とする企業が増えている…
と、こんな記事がありました。

派遣、期間工などは給与の前借りや日払いなど、給与支払いが柔軟でしたよね。
ただ正社員(常勤)ともなると、給与は月給制が普通。
給与の締めのルールがあり、働いた分は当月ないしは、翌月までに口座に入金されるのが通常ルールです。

看護師の世界も、一般企業と同様ですよね。
ただ医療業界は、診療報酬が3ヶ月後に入金されるので法人としてはキャッシュがないと容易に給与遅滞が起きてしまう。
お金の流れについては、意外とハラハラする業界なんです。
もちろん国からの7~10割医療費が回収できるので、一般企業よりは取りっぱぐれは少ないんでしょうけれど。

さて今回のテーマは「奨学金の立て替え」についてです。

 

目次

奨学金の立て替えとは

看護学生時代、奨学金を病院から受けている看護師さんは多いですよね。

都道府県が実施しているもの、各病院が私的に行っているものが主な奨学金です。
都道府県の奨学金は、金額によって返済期間や、種類によって看護師取得した後の働く病院先に規定があります。
簡単に言えば、200床以下の病院、精神科病院・・という縛りが多いです。

病院からいただく奨学金ですと、就業期間◯年以上の場合は支払いが免除…というものが多いです。
一般的に言う、お礼奉公期間ですね。
多くの病院は借りた期間に比例することが多く、レギュラーコースで3年間借りれば、お礼奉公は3年間。
准看護師2年+高看学校3年の方は、5年間。

余談ですが…
最初に准看の学校を出してもらって、そのまま正看護師を取得すると5年。
ストレートで正看護師を取得すると3年。
色々な事情はあるにしても、准看護師の学校を強力に進める病院には何か意図があるな…と思うのは、私だけでしょうか?

さて借りた奨学金ですが、都道府県の奨学金であれば縛りの中で転職すれば特に問題ないわけです。
200床以下の病院、精神科病院であればある程度縛りの中でも転職先を選ぶことはできますよね。

ただ病院から借りた奨学金は、辞めた途端に残金を一括で返済しなければなりません。
当たり前ではあるものの、退職時に三桁のお金を返す必要が出てきたら…経験の浅い看護師さんには大変な負担。

そこで以前は、転職先の病院が奨学金の立て替えをしてくれる病院が少なくなったのです。
病院は看護師1名を採用する必要に迫られていたら、せいぜい3ヶ月分程度の給与を前倒して、返済完了するまで数年間採用できるわけですから…お互いにとって悪い話ではなかったのです。

 

今は立て替えする病院はない

しかし。
以前は横行していた奨学金の借り換えですが、現在はほとんどの病院が行っておりません。

一部の個人病院で内々に行われていることがあるとかないとか…その程度まで減っているのです。

奨学金を病院が立て替えるということは、お金を貸すということですから貸金業ではない医療法人が行ってよいはずがありません。
法的にNGだから、今は奨学金の立て替えが行われない…ということですね。

まだ近年でも、奨学金の立て替えを希望して転職相談をしてくれる看護師さんは一定数いらっしゃいます。
ただ基本的には奨学金立て替えをOKとしている病院がないので、求人はないと思ってください。

仮に奨学金を立て替えてくれる病院があるとすれば…
それは法的に違法またはグレーなことを行っている病院ですから、逆に怪しんだ方がいいです。
そんなところに入職して、幸せになれるはずはないですよね。

奨学金は、借りている最中はとてもありがたいですが、看護師になった後は自分のキャリアや、病院のやり方などを考えた時に、時にはあなたにとって足かせになるケースがあります。
借りる前に、必ず奨学金を借りた後のことを考えて借りるようにしましょうね。