精神科では、精神障害・精神疾患・依存症を主な診療対象とする診療科で、開放病棟と閉鎖病棟に分けられている病院が一般的です。閉鎖病棟とは、開放病棟と違って病棟の出入り口が常に施錠され、入院患者や面会者が勝手に出入り出来ない構造になっており、開放病棟のそれと比較してより重度の患者さんが利用します。
精神疾患を持った患者さんに対する精神的なケアが中心になりますので、逆に言うと急性期の病棟と比較すると医療行為は少ないと言えるでしょう。
精神面での看護が中心と言われますが、実際の看護はどのような内容になるのでしょうか。コミュニケーションの面では「傾聴」が重要と言われています。「傾聴」とは、カウンセリングスキルの一つで、ただ話を聞くのではなく注意を払って相手の話したいことに丁寧に耳を傾けることです。こちらが伝えたり説得することではなく、患者さん自身でであるべき結論にたどり着くことを支援することが目的です。
また、高齢の方や精神的に不安定な患者さんが多く、自分の症状を正しく伝えることが出来ない方も多いので、じっくり観察し、想像する力が大変重要になります。また、患者さんのご家族との関係も大変重要になります。
一方で、精神療法と同様に薬物での療法も非常に重要になってきます。ですので、薬品に関して学ぶことは多くなるでしょう。
精神科での仕事は「感情労働」と言われることもありますが、急性期の病院と比べると体力的には楽なところも多いようですが、そのぶん精神的にストレスがたまりやすいと言われる職場です。患者さんの内面にじっくり向き合うことで、自分の内面とも向き合うことが多いので、「自分が見える仕事」といわれますが、人として大きく成長できる職場とも言えるでしょう。
但し、急性期の病棟での勤務ほど技術的なことに触れ合う時間が少ないので、まずは急性期の病棟で経験を積んだ後に精神科に移るというキャリアパスを選ぶナースが多いです。精神科は特殊な職場と身構える人も多いですが、教育体制をきちんと整えている施設も多いので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。 精神科の病棟にもいくつも種類がありますので、力を入れている疾患や、夜勤体制はどうなっているのかなどをチェックしておくと良いでしょう。
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