――まず、お仕事の概要を教えてください。
昨年までは東京23区で看護師さんに対して転職コンサルタントをしていました。現在は仕事内容が少し変わって、神奈川県内で薬剤師さんの人材紹介を行なっています。
――看護師さんとその他の医療関係者さんで違いはありますか?
看護師さんは特に仕事やお金に関して非常に現実的な人が多いという印象です。例えばPT(理学療法士)やOT(作業療法士)さんは、その職業に就いた理由として「子供の頃、怪我をしたときに助けてもらったから」などのエピソードが出てくるケースが多いらしいのですが、看護師さんや薬剤師さんは「給料が良いから」「食いっぱぐれないから」などの現実的なご意見が非常に多いですね(笑)特に准看はその傾向がより顕著ですね。もちろん、それが悪いということはありませんが。
――看護師さんは転職の際に転職会社(サイト)を使ったほうが良いと思いますか?
看護師さんは医師や薬剤師さんと違って選択肢が大変多いですから、自力で探すよりは転職サイトを使ったほうが効率も良いですし、良いところに出会えると思いますよ。いくら使ってもタダですし、嫌な担当がいたら無視すれば良いだけですし。――インターネットで探すとナースはたくさん求人が出てきますよね。
はい、確かにたくさん求人が出てきますが、4割くらいが本物で、半分以上は昔の残骸ですね。なので、ネット上であれこれ探してもほとんど意味ないです(笑)。部屋探しもダミーの物件ばかり出ていますが、求人もやはり実際問合せてみないとダメですね。
但し近所で気になる施設があったとして、その施設の求人が見つからなかったとしても、エージェントにお願いすれば問合せてくれますよ。こちらから問合せて面接出来る確率は正直低いんですけど、こちらも要望を無視するわけにもいかないのでとりあえず連絡はしてみますね。
――ハローワークはナースには合わないものですか?
使い方次第だと思いますよ。特に行政関係の仕事が多い、保健師にはハローワークが向いていると思います。看護師の求人についても、特に悪い求人が多いという印象は無いですね。
求人の募集要項があまりに地味だったり、担当者に知識が無いので「この求人ヤバいんじゃないの?!」と不安になってしまう人が多いみたいですが。そういう時は求人情報を持って転職会社に駆け込んで見れば良いと思います。やはり現場の知識は転職会社が持っていますから。
――人気のある求人は、社内でどういう扱いをされるんですか?
競争率が高い求人といえば、いわゆる産業看護師などと呼ばれる企業からの求人ですね。去年は都内で3件しか出て来ませんでしたが、こういう求人が出てくると転職者が殺到してパレード状態になります(笑)。
あらゆる転職会社から紹介が出てくるので、どの会社も合格する確率が高い人を厳選して紹介している印象があります。言い方は悪いですが、連れて行っても不合格だったら、こちらも手間をかけただけ無駄になってしまいますから。
なので、人気の求人を紹介してほしいナースは「この人なら合格する可能性が高い!」という印象をエージェントに与えておくことが大事ですね。すると、医療機関や企業から転職会社にそういう求人が出た時に思い出して連絡してもらえますから。
後は、エージェントと良い関係を築くことも重要だと思います。こちらも仕事とはいえ、合わない転職者さんは無意識に避けてしまいますので(笑)
――どのあたりで合格する確率を見ているんですか?
90%は転職者の職歴、経験ですね。例えば人気の美容外科があったとして、未経験の人を連れて行くことは無いです。
施設側からも「何で未経験なんか連れてくるの?」って雰囲気になりますし、こちらとしては合格出来る人を連れて行きたいという気持ちはありますからね。とりあえず合格して入職して頂かないと、我々の利益にはなりませんから・・・
――未経験の職場にチャレンジしてみたい!という転職者は早めに希望を捨てるべき?!
そんなことはありませんよ。施設によっては「未経験でも何でも良いから採用したい」というところもありますので、未経験の人はそういうところを狙えば良いと思います。中には慢性的に人で不足で、地獄のような職場も混じっていますが、それは覚悟で突っ込んでみるしかないでしょう(笑)。
――ブラックな職場を見抜くポイントは?
採用を検討している理由、いわゆる「採用背景」ですね。鋭い看護師は皆さんこれを確認されます。ここで「基準割れ」という理由が出てきたら、要注意ですね。ここで更に深く聞いてみても良いですが、エージェントも施設も「産休の人が一気に出たので」などと言ってごまかすケースも多いです。
「今までここに転職して、辞めた人はいますか?」と聞かれることもありますが、はぐらかしていますね(笑)。本当のことを言うと聞いた人はそれに影響されすぎてしまいますし、たまたま前の退職者と合わなかっただけということもありますし。
そうではなく「7:1看護への移行」「看護師の体制を手厚くしたい」などという理由であれば、ブラックである確率は低いですね。ただ、本人との相性に依る部分が大きいので、どちらにしても入ってみないとわからないですけどね。
それから、これは長期的に求人を見ていないとわからないと思いますが、常に求人が出ているようなところは怪しいですね。規模が大きい病院など、それなりの理由があれば別ですが。
――他にはありますか?
給料が高いところも危険な職場が多いですね。ただ業績が良いだけ、というところももちろんありますが、「どうして高いのか?」は確認しておいた方が良いですね。
――多少ブラックな職場でも、エージェントとしては知らぬ顔して送り込んじゃうんですか?
やっぱり離職率が高いところにナースを紹介する時は、こちらも嫌ですね。我々は施設側から紹介料をもらってビジネスをしているわけですが、すぐに紹介者が辞めてしまうとお客さんである施設側に対して気まずいですからね。やはりそういう施設は出来るだけ避けますし、転職者さんにもそれとなく伝えています。
――転職後の看護師さんから「紹介の時に言ってた話と違うじゃないか」と言われることもありますか?
ありますね。例えば「残業は無いと言っていたのに、実際は残業有るじゃないか!」と。どれくらい残業させられたのか聞くと、10分、15分だったりするわけです。
サラリーマンである私からすれば10分なんて残業と言わないんですが(笑)その方には我慢出来なかったんでしょうね。条件としてこだわりたいポイントがあるなら、細かく確認しておいた方が良いですね。
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