―― また嫌な質問になりますが、ブラックな職場って看護師さんにどうやって紹介するんですか？（笑）知らんフリして紹介しちゃうことってありますか？
（キャリアコンサルタント・橘さん）
看護師さんから提示された条件と合致していれば施設の名前だけ紹介することはありますが、その時に悪い噂についても必ずお話ししていますね。というのも、近い地域の施設の噂はすぐに広まりますので、看護師さん側で既に悪い噂を知っているケースが多いんですよ。ですので、知らない顔して紹介なんてしちゃうと、二度と信用してもらえないので。
―― そういう職場をおすすめすることはない？
（キャリアコンサルタント・橘さん）
既にマイナスイメージを持たれているときは、お勧めはしないですね。それが例え間違ったイメージだったとしても、ネガティブなイメージを覆すのは大変なことですので。
なので、こちらから紹介しにくいような職場については、施設側の担当者さんに改善をお願いするようにして、改善されない限りは看護師さんにご紹介はしていないですね。
―― 施設ごとにデータを蓄積しているとお聞きしていますが、「看護師長が怖い」とか「人間関係がぐちゃぐちゃ」なんて情報も書いてあるんですか？
（キャリアコンサルタント・橘さん）
はい、書いてあります。辞めた人たちや在職中の方から嫌というほど情報が入ってきますので（笑）
それ以外には、事業所ごとの労働時間や有給消化率、電子カルテの情報なども当然記録して、転職希望者さんに情報提供しています。ママさんナースであれば、現役で働いているママさんナースはいるかどうかなどは重要なポイントになります。
―― 面白そうなので、一度見てみたいです。。ところで、貴社は独自のサービス「お悩み相談室」を設けているんですね
（マーケティング・佐々木さん）
はい、弊社のコンサルタントが持ち回りで、メールや電話でご相談を受け付けています。
転職とは無関係なことでも大丈夫ですし、もちろん無料です。
―― 変な相談とかも来たりしますか？
（キャリアコンサルタント・橘さん）
いえ、比較的真剣な内容のご相談が多いですよ。中には「先輩ナースとドクターの愛人関係がもつれていて困る」なんていう内容もありますが（笑）多くは人間関係に関することで、「退職の話をすると虐められる」「外見的な特徴でバカにされる」などというご相談もありますね。
他にはキャリアに関することで、「仕事を続けたいけど旦那に反対される」「看護師をやめてアロマセラピストになりたい」なんていうご相談もあります。
―― 結構、雑多なご相談もOKなんですね（笑）ちなみに、こんな転職者さんには求人を紹介出来ない。。なんていう人はいますか？
（キャリアコンサルタント・橘さん）
どこに行ってもすぐに辞めそうな方は、ご紹介しにくいですね。考え方に現れるんですが、身の回りのこと全てに愚痴っぽい、クレーマー体質の方は、紹介が難しいですね。逆に、短期で退職しているからという理由だけで、ご紹介が難しいということは無いんですよ。
―― 最後のご質問になりますが、転職した後のアフターフォローは？
（キャリアコンサルタント・橘さん）
入職後すぐと、1ヶ月後に必ずご連絡しています。1ヶ月後は転職完了後に最大5万円をお渡しする転職支援金のご連絡のタイミングになっています。
今の職場とマッチングミスがある場合は、1ヶ月以内にはミスマッチでないかどうか大体わかるのですが、不安な方にはその後もご連絡するようにしています。もちろん、場合によっては事業所さんに改善提案をさせて頂きます。
―― 転職を考えている看護師さんに一言お願いします
（マーケティング・棚橋さん）
転職希望者さんの中には、施設について偏ったイメージを持たれている方が少なくありません。例えば、クリニックは夜勤が無くて楽なのかな？というイメージがありますが、実際は外来が多くて応対が大変でお昼の休憩が取れないなんていうところもありますし、看護師さんの数も少ないのでいざという時に代わってもらうことも難しいですよね。
このように、看護師さんが意外と知らない職場の実態を転職会社は大量のデータとして持っていますので、それを上手く活用していただきたいですね。
―― お忙しい中有難うございました！
【インタビューを終えて】
今回のインタビューで、編集部は『看護のお仕事』に関する情報を事前に徹底研究していました。「安心」「親切」などと言った情報を見る度に感じたのは「嘘くさい」「良い子ぶってる」という感想（笑）。
「転職者さんのために150件も電話をするはずがない」「お金をもらう対象はあくまで病院・施設なんだから、悪い噂でも転職者さんに正直に伝えるなどありえない」と。しかし、そういった先入観は、インタビューの間に次から次へと打ち破られた。「転職者の家探しまで手伝ったって話、あれは嘘でしょ?!」と聞きたかったが、開始30分と経たずに聞くだけムダだと気が付いた。帰り道、キラキラに光る渋谷のヒカリエを背に、困らせてやろうと失礼な質問ばかり浴びせてしまった醜い自分が悲しくなった。
こんな『看護のお仕事』のコンサルタントに、是非ともみなさまもイジワルな質問やワガママな相談を投げかけてみてください。きっと意外な答えが返ってくるはずです。